農業(水稲・野菜)

気候変動の影響

  • 高温に起因する水稲の品質の低下(白未熟粒の発生増加等)
  • 夏期の高温による野菜の品質低下(水なすのつや無し果の発生等)
  • 暖冬による害虫の越冬数の増加

これまでの調査の報告と将来予測

水稲

  • 大阪の水稲栽培では、高温の影響により、斑点米カメムシの被害や、山麓部でのウンカの被害が増加しています。
  • お米の品質については、白未熟粒や胴割米が増加し、一等米の比率が低下しています。
  • 育苗時には散水、ほ場での管理時は水入れの回数も増加しており、水不足も懸念されています 。
  • 将来の水稲栽培に関する予測では、病害虫の分布域が北上することによる被害発生や、高温により既存品種の品質低下が懸念されています。
  • 白未熟粒の発生率は、現在の大阪府域の主要品種である「ヒノヒカリ」では、現在気候の1~33%に比べて、将来気候では15~33%になると予測されています。(「令和3年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務」における分析結果より

白未熟粒

 

野菜

  • 【中部地域】特産品である若ごぼう(葉ごぼう)では、暖冬のため、冬期の生育が年々早くなっています。
  • 【中部地域】特産品であるえだまめでは、長雨と高温による根の傷害や、高温による潅水回数の増加が発生しています。
  • 【南河内地域】特産品であるなすでは、早春から初夏にかけて曇雨天後の晴天時に多発する「日焼け果」が問題となっています。
  • 【泉州地域】特産品である水なすでは、高温による「ぼけ果(つやなし果)」や生育不良による規格外の果実の増加、大型台風による「風すれ」での果実の傷害などが発生しています。一方で、長雨により、露地圃場のダニやアブラムシの被害が減少しているとも言われています 。
  • 【南河内地域】いちごでは、冬期の気温上昇により、暖房の稼働時間が減少しています。
  • 【泉州地域】特産品であるしゅんぎくでは、夏は高温による生育途中の枯死が発生しています。
  • 【泉州地域】きゃべつでは、夜温が30℃を超えることによる発芽不良の増加と種のまき直し、秋口の害虫の発生増加が起こっています。

生産量日本1位のしゅんぎく

水なすのつやなし果(左)と正常果(右)

なすの日焼け果

 

気候変動への適応策

水稲

■大阪の農業者の取組

  • これまでの「ヒノヒカリ」から高温耐性品種「にこまる」へ、栽培品種の転換を進めています。
  • 高温障害を低減するために、ため池の農業用水よりも水温の低い地下水の利用を試みているところもあります。

■環農水研の取組

  • 環農水研では、大阪の主要品種である「キヌヒカリ」、「ヒノヒカリ」に替わる高温耐性と優れた食味性を併せもつ優良品種を選定するため、複数の品種で数年にわたる栽培試験や食味試験を実施してきました。その結果、これまでに「にこまる」「恋の予感」「てんたかく」が産地銘柄米に登録されました。今後も、より優れた高温耐性や食味性をもつ品種について栽培試験に取り組んでいきます。

 

野菜

■大阪の農業者の取組

  • 【中部地域】特産品である若ごぼう(葉ごぼう)では、播種の時期を遅らせて、暖冬による生育加速に対応しています。
  • 【南河内地域】特産品であるなすでは、ハウスの両側に自動開閉装置を設置して「日焼け果」の発生を抑制しています。
  • 【泉州地域】特産品である水なすでは、ハウスに細霧冷房装置を設置して高温対策をしています。
  • 【泉州地域】しゅんぎくでは、ハウスでは換気扇や日除けネットの設置、露地では潅水回数の増加などで高温対策をしています。

■環農水研の取組

  • 環農水研では、栽培環境を制御することで水なすの「つやなし果」の発生を防ぐ技術開発に取り組み、細霧冷房による環境制御システムを確立しました。

水ナスのつやなし果を抑える細霧冷房

水なすのハウスで細霧冷房を実施

細霧冷房装置のノズルから細かな霧を散布