気候変動の影響
- 水災害による河川への汚染物質の流入
- 沿岸域及び閉鎖性海域における人為的な影響を含む表層海水温上昇
- 短期間の大雨が増えることによる大阪湾に流れ込む汚濁物質の増加
- 無降雨日数が増加することによる渇水の増加
これまでの調査の報告と将来予測
河川の環境
- 河川では、水温の上昇による溶存酸素量の低下が予測されています。さらに微生物によって、溶存酸素の消費を伴った有機物分解反応や硝化反応が促進することも指摘されています。
大阪府民と淀川水系
- 大阪府民の大半は、水道水源を淀川水系に頼っているため、淀川水系における水質汚濁や水質事故のリスクに対しては脆弱です。取水地点近くに人口規模がおおきな都市があり、水災害等で化学物質が淀川水系へ流入した場合などは、水道水がこれまでのように利用できなくなるリスクにさらされています。淀川の上流である桂川、木津川、宇治川の流域では、下水処理水をこれらの河川に放流しているため、下水処理場が集中豪雨によってオーバーフローした場合は、淀川での取水に影響を及ぼす可能性があります。
大阪湾の環境
- 大阪湾は、漁業者の漁場であり、また、府民が潮干狩りや釣り、海水浴やヨットなどのマリンスポーツを楽しむ場として親しまれています。温暖化によって海面上昇や水温上昇が起こり、短時間強雨が複数回発生して汚濁物質の流入が増加すると、環境が変わってしまうことが懸念されます。
渇水による給水制限
- 降水の時空間分布が変化することで無降雨や少雨が続き、日本各地で渇水が発生して給水制限が実施されており、渇水の深刻化も予測されています。
気候変動への適応策
■国の取組
渇水対応タイムライン
- 国土交通省は、国が管理する河川において、渇水による影響が大きい水系から「渇水対応タイムライン」を作成を進めています。大阪府域では、淀川のタイムラインが策定されています。
■環農水研の取組
河川
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- 府域の河川の水質をモニタリングし、水温や生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)などの測定データを蓄積しています。測定結果は大阪府のホームページで閲覧できます。
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大阪湾
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- 公共用水域として、大阪湾の水質をモニタリングし、水温や生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)などの測定データを蓄積しています。測定結果は大阪府のホームページで閲覧できます。
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- 漁場環境として、大阪湾の水温や貧酸素水塊の分布、赤潮の発生状況などをモニタリングしています。測定結果は環農水研のホームページで閲覧できます。
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環農水研の調査船「おおさか」